「クラウド化の補助金」として使えるのが、この制度の最大の強み
東京都中小企業振興公社が、2026年度のBCP実践促進助成金の公募を開始。名称は防災系だが、「基幹システムのクラウド化」「データバックアップ」が対象経費に入っている点で、IT刷新を考える中小企業にとって使い勝手の高い補助金になっている。
制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | BCP実践促進助成金 |
| 実施主体 | 公益財団法人東京都中小企業振興公社 |
| 対象事業者 | 中小企業者・小規模企業者(NPO・社会福祉法人・医療法人・学校法人等は対象外) |
| 補助率・上限 | 単独型:中小企業 1/2・小規模企業 2/3 以内/上限500万円(下限10万円)<br>連携型:中小企業 1/2 以内/上限1,000万円(下限10万円) |
| 対象経費 | 従業員用備蓄品、発電機、ポータブル電源、安否確認システム、感染症対策物品、土のう、転倒防止装置、データバックアップ、基幹システムのクラウド化、耐震診断等 |
| 公募締切 | 第1回:令和8年5月13日〜19日<br>第2回:令和8年9月9日〜15日<br>第3回:令和9年1月8日〜15日 |
基幹システムのクラウド化に使える意味
中小企業のDX推進で大きな壁になるのが、オンプレサーバーのクラウド移行費用。通常1,000〜3,000万円規模の投資になり、IT導入補助金だけでは賄いきれないケースも多い。
この補助金は:
- 単独型でも上限500万円
- 連携型なら1,000万円
- 補助率1/2〜2/3
BCP文脈で申請することで、災害時の事業継続を理由にクラウド化コストの半分〜2/3を東京都に負担してもらえる。他のIT系補助金と組み合わせると、実質自己負担を大幅に圧縮できる。
対象経費の幅広さ
BCPという名前だが、実質的に対象経費は以下の4カテゴリに分かれる:
① 物理的な防災設備(従来型)
- 備蓄品、発電機、ポータブル電源
- 土のう、転倒防止装置
② 情報システム系(現代型)
- データバックアップ: (オンプレミス冗長化、クラウドバックアップ)
- 基幹システムのクラウド化
- 安否確認システム
③ 建物対策
- 耐震診断
④ 感染症対策
- 感染症対策物品
②のカテゴリを主目的に申請する会社が増えている印象。BCPの文脈だが、実態はIT投資補助金として使える。
現場の本音:クラウド化で申請するときのコツ
1. 「なぜBCP観点でクラウド化が必要か」のストーリーを作る
単に「クラウド化したい」では審査で落ちる。「災害時にオンプレサーバーが被災した場合、事業停止が何日続き、売上損失がいくらになるか」を具体的に数字で示す。
そのうえで「クラウド化により、災害時も業務継続が可能になる」という流れで書くと、BCP補助金の文脈にはまる。
2. 連携型を狙えるなら狙う
連携型は1,000万円と大型。取引先・グループ会社との共通インフラとしてのクラウド基盤を提案すると、連携型の要件を満たしやすい。
3. 3回の締切があるので焦らない
第1回(5月19日)、第2回(9月15日)、第3回(令和9年1月15日)と3回に分けて募集がある。第1回に間に合わない場合、第2回に向けて夏にじっくり準備することもできる。
ただし、予算枠には上限があるため、早めのほうが採択率は高い傾向。
こんな会社に向いている
- 東京都内の中小企業(オンプレサーバー運用中)
- 老朽化したIT基盤の刷新を検討している
- IT導入補助金と併用してDX投資を進めたい
- 災害リスクを事業継続の観点で考えている経営者
※本記事の情報は2026年4月23日時点の公開情報に基づきます。最新の公募要領は必ず[東京都中小企業振興公社公式ページ](https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/bcp.html)でご確認ください。