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制度解説8分で読める公開: 2026-03-05 | 更新: 2026-04-14

持続化補助金は「小規模事業者の登竜門」か、それとも「コンサル泣かせの薄利制度」か

持続化補助金は上限50〜250万円の小粒な制度だが、小規模事業者にとって最も現実的な最初の一歩。一方でコンサル費用を払って取りに行く制度ではない、とも言われる。現役コンサルが「自力申請で十分なケース」と「外注すべきケース」を現場感で整理する。

株式会社LAST SOLUTIONS 代表取締役 · 補助金 累計採択実績 20億円以上

この記事のポイント

持続化補助金は上限50〜250万円の小粒な制度だが、小規模事業者にとって最も現実的な最初の一歩。一方でコンサル費用を払って取りに行く制度ではない、とも言われる。現役コンサルが「自力申請で十分なケース」と「外注すべきケース」を現場感で整理する。

結論:持続化補助金は「自力で書ける経営者」にとって最高にコスパが良い制度

小規模事業者持続化補助金は、補助金コンサルの世界ではあまり扱われない制度です。理由は明快で、補助額が50〜250万円と小粒で、コンサル費用(着手金+成功報酬)を払うとほぼ手元に残らないケースが多いから。

ただ、裏を返せば自力で書ける経営者にとっては最高にコスパが良い制度です。商工会議所が伴走してくれる仕組みもあり、補助金の「入口」として非常に優れています。本記事では、現役コンサルの視点で「自力申請で十分な条件」と「外注すべきケース」の線引きまで踏み込みます。

そもそも持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金は、従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の小規模事業者を対象に、販路開拓や業務効率化を支援する制度です。全国商工会連合会・日本商工会議所が事務局を担い、地域の商工会・商工会議所を経由した申請が前提になります。

コロナ禍以降、申請件数が大きく伸び、近年は公募回によって採択率が変動しています。現場感では採択率は公募回によって40〜70%のレンジで推移しており、他の大型補助金と比べて「取りやすい制度」の部類に入りますが、「必ず通る」わけではありません。

補助率と上限額

類型補助率上限
通常枠2/350万円
賃金引上げ枠2/3200万円
卒業枠2/3200万円
後継者支援枠2/3200万円
創業枠2/3200万円
インボイス特例+50万円

補助率は原則2/3と高め。通常枠の上限50万円は「使途の自由度+手続きの軽さ」で光る反面、賃上げ・卒業・創業などの特別枠はハードルがある代わりに200万円まで伸びます。

対象経費の落とし穴

対象になる経費は幅広い一方で、ウェブサイト制作・広告経費だけでの申請はNGです。必ず他の経費と組み合わせる必要があります。ここを知らずに「HP作り直したいから持続化補助金で」と動いて引き返す経営者は毎年一定数います。

主な対象経費:

  • ウェブサイト制作・リニューアル(他経費とセットで)
  • チラシ・パンフレット・カタログ作成
  • 店舗改装・看板
  • 展示会・商談会への出展
  • 新商品・新サービスの開発
  • 広告掲載(新聞・雑誌・Web)
  • 機械装置・ソフトウェアの導入

申請の流れ:商工会議所の確認が関門

  • 経営計画書の作成:A4で数ページ。「自社の概要」「顧客・市場」「自社の強み」「販路開拓の具体的な計画」を記載
  • 商工会議所・商工会での確認:地域の商工会議所・商工会で経営計画の内容を確認してもらう(必須
  • 電子申請(Jグランツ)で提出
  • 採択通知:申請から概ね2〜3ヶ月
  • 交付決定 → 事業の実施 → 実績報告 → 補助金入金

ここで現場感として伝えておくべきは、商工会議所の担当者の力量で結果が変わるという事実です。熱心な担当者なら計画書の質まで踏み込んでレビューしてくれますが、形式的に確認書だけ出す担当者もいます。前者に当たれば、コンサル要らずで採択まで到達できます。

採択されやすい申請書の書き方

ポイント1:数値目標を具体化する

「売上を増やしたい」は落ちる申請書の典型。「月商50万円分の新規顧客を年間10社獲得し、年間売上を600万円増加させる」のように、数字と時間軸を落とし込みます。

ポイント2:誰に・何を・どうやって売るかを具体化する

ターゲットが「地域住民」「近隣企業」では抽象的すぎます。「半径3km圏内の30〜50代女性」「車で30分圏内の製造業、従業員30名以下」のように、物理的な範囲と属性まで絞り込む。

ポイント3:なぜ自社が勝てるのかの根拠

強みは「高品質」「丁寧」「地域密着」では誰でも書きます。具体的な実績や独自リソース——「創業以来20年の取引先との信頼関係」「地元唯一の○○機能付き設備」のように、他社が簡単に真似できない根拠を書くこと。

「自力申請で十分」なケースと「外注すべき」ケースの線引き

現役コンサルの本音として、持続化補助金の外注費は正直に言って割に合いません。補助額50〜200万円の案件に、着手金+成功報酬で数十万円を払うと、経営者側の手残りが薄くなる。

自力申請で十分なケース

  • 通常枠(上限50万円)を狙う
  • 社長または営業責任者が自社の顧客・市場を自分の言葉で語れる
  • 地域の商工会議所の担当者が熱心で、計画書レビューに付き合ってくれる
  • 販路開拓の計画が既に頭の中にあり、文書化するだけの状態

外注を検討してよいケース

  • 賃上げ枠・卒業枠・創業枠(上限200万円)を狙う
  • 申請書作成に使える時間が経営者・社員側にまったくない
  • 計画策定段階から戦略的な壁打ち相手が欲しい(この場合、補助金申請は副次的で、事業戦略コンサルとして捉える)

コンサル費用の現場感

持続化補助金のコンサル費用は、案件によって大きく変動します。成功報酬10〜20%が一つの相場感ですが、50万円案件なら5〜10万円、200万円案件なら20〜40万円のレンジです。

ここで一つ、健全な疑問を投げておきます。着手金を数十万円取る持続化補助金コンサルは、正直バランスが悪い。採択率が仮に50%だとして、取れなかった時に事業者側に残るのは着手金の支払いだけ——この構造を理解した上で発注判断すること。

「補助金ありき」の販路開拓は、採択後に詰む

小規模事業者でもよくあるのが、「補助金が出るから新しくHP作る」「補助金が出るから看板変える」という逆算思考です。補助金が出ようが出まいが必要だった投資なら問題ありませんが、「補助金が動機」で始めた販路開拓は、効果測定も雑になり、ほとんどが「作って終わり」で終わります。

補助金はやりたかったことを加速させる道具として使う。この順序を守れば、持続化補助金は中小企業経営の最強の味方になります。

業界トレンド:持続化補助金の位置づけも変わってきた

補助金業界全体の流れとして、2022〜2024年の「補助金バブル」は事業再構築補助金をはじめとする大型制度が主役でした。その裏で、持続化補助金は地味だが堅実な制度として走り続けてきた。

2025年以降、大型補助金が再編されていく中で、持続化補助金の相対的な存在感はむしろ上がっています。小規模事業者が真っ先に検討すべき制度としての定位置は、今後も変わらないでしょう。

まとめ:持続化補助金で迷ったら、まず商工会議所に相談

  • 通常枠50万円なら、まず商工会議所で相談。熱心な担当者なら自力申請で十分
  • 賃上げ・卒業・創業など特別枠200万円以上を狙うなら、外注も選択肢
  • 対象経費は幅広いが、HP・広告単独はNG。組み合わせ必須
  • 計画書は数値・ターゲット・強みの根拠の3点を具体化
  • 補助金ありきで販路開拓を組まない。やりたかった投資を加速させる文脈で使う

持続化補助金は、補助金コンサル業界ではあまり話題にならない制度ですが、経営者本人が自分の事業を見直す訓練として使えば、コスパは極めて高い。「最初の補助金」として、ぜひ一度は使ってみてほしい制度です。

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この記事はTORUQ認定コンサルタントの実務経験に基づいて執筆されています。

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