総務省が令和8年度「ローカル・スタートアップ枠」を新設
総務省は、令和8年度から「安全性・信頼性を確保したデジタルインフラの海外展開支援事業」にローカル・スタートアップ枠を新設。地方ICT中小企業に加え、東京都に本社を置くスタートアップも支援対象に加えた。
公募期間は2026年4月24日(金)〜5月29日(金)17時。地方ICT企業・スタートアップによるデジタル技術の海外展開を支援する制度で、グローバル経済安全保障の観点からも重要視されている。
制度の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 安全性・信頼性を確保したデジタルインフラの海外展開支援事業 令和8年度「ローカル・スタートアップ枠」 |
| 主管 | 総務省 国際戦略局国際戦略課 |
| 事務局 | PwCコンサルティング合同会社 |
| 対象事業者 | (a)東京都を除く国内本社の地方ICT中小企業(資本金1億円以下)<br>(b)東京都本社のスタートアップ(設立15年以内、資本金1億円以下、急成長目指す) |
| 対象事業 | デジタルインフラ・デジタルソリューションの海外展開の案件発掘・提案・形成 |
| 公募期間 | 令和8年4月24日(金)〜同年5月29日(金)17:00 |
| 採択公示 | 令和8年6月末頃 |
| 提出方法 | 応募フォーム+応募書類を事務局宛メール提出 |
| 必須要件 | デジタル海外展開プラットフォーム(JPD3)への入会 |
| 公式情報 | 総務省公式サイト/JPD3 |
押さえるべきポイント
ポイント1:「ローカル・スタートアップ枠」が新設
令和5〜7年度の「地方枠」に加え、令和8年度から東京都本社のスタートアップも支援対象に追加。これは大きな変化で、東京都発のディープテック・AI・サイバーセキュリティ系スタートアップにとって、新しい機会が生まれる。
ポイント2:ICT・デジタルインフラ領域に特化
対象はICT中小企業・デジタルソリューション系スタートアップ。製造業・小売・飲食等の一般事業者は対象外。
具体的に想定される領域:
- AI・データ解析プラットフォーム
- サイバーセキュリティ
- IoT・5G/6G関連サービス
- クラウドインフラ・SaaS
- DX関連ソリューション
- 通信機器・ネットワーク機器
ポイント3:「海外展開」が前提
国内市場での事業拡大ではなく、海外展開の案件発掘・提案・形成が対象。展開先国・地域での社会課題解決と、自社サービスのグローバル展開が同時に求められる。
ポイント4:JPD3 への入会必須
申請にはデジタル海外展開プラットフォーム(JPD3)への入会が必須。JPD3 は総務省が推進する官民連携プラットフォームで、海外展開を志向する事業者のネットワーク。
ポイント5:採択は競争率が高い
詳細な採択件数は公開されていないが、過去の「地方枠」の傾向から、競争率は決して低くないことが推測される。
ディープテックスタートアップにとっての意義
意義1:国家戦略の文脈で支援される
総務省は本事業を「経済安全保障の観点から重要」と位置付ける。日本のデジタル技術の海外展開は、国家戦略の核心。国の戦略文脈で支援を受けられる意義は大きい。
意義2:海外展開の入口が確保できる
ディープテック・AI・サイバーセキュリティ系スタートアップにとって、海外展開は事業成長の鍵。本事業は、海外展開の案件発掘から形成まで段階的に支援するので、初めての海外展開を目指す事業者にも適している。
意義3:JPD3 の人脈・情報網にアクセスできる
JPD3 への入会で、官民連携の人脈・情報網にアクセスできる。海外展開先の現地パートナー候補・現地ニーズ情報・先行事例の情報など、自社単独では入手しにくい情報が得られる。
意義4:「地方枠」との差別化
過去の「地方枠」は地方ICT中小企業のみが対象だったため、東京都本社のスタートアップは応募できなかった。新枠での参入機会は、東京都発スタートアップにとって新規開拓ルート。
申請のコツ
コツ1:JPD3 入会を即時実行
申請の必須要件。まず JPD3 の入会手続きを完了させる。これが揃わないと申請自体ができない。
コツ2:海外展開先国の選定
提案書では、展開先国を明確にする必要がある。東南アジア(タイ・ベトナム・インドネシア等)、ASEAN・南アジア、アフリカ、中東等、自社サービスとマッチする国を選定。日本の安全保障的に重要なパートナー国(米・EU・豪・印等)も選択肢。
コツ3:現地の社会課題と接続
「展開先国の社会課題を、自社のデジタル技術で解決する」というストーリー設計。現地の DX ニーズ・治安課題・行政効率化ニーズ等と自社サービスを接続する論理が必要。
コツ4:公募説明会への参加
第1回(4/24)、第2回(5/14)にオンライン公募説明会あり。説明会への参加は採択意思の表明でもあり、事務局の評価軸を直接聞ける貴重な機会。必ず参加すべき。
コツ5:応募書類の精度
提案書(様式1)と提案事業概要(様式2、PowerPoint)の質が採択を左右する。海外展開の実現可能性・現地パートナー候補・自社サービスの優位性を、図表・データで明確に。
コツ6:過去の「地方枠」事業者との差別化
過去の「地方枠」で採択された事業者も再応募可能。ただし、令和8年度「ローカル・スタートアップ枠」を活用する意義を明確に示す必要がある。新たな展開先国・新たなフェーズ・新たな技術等の差別化を提示。
認定コンサルの本音
「総務省の海外展開系補助金は、他の補助金とは別物の感覚。経済安全保障文脈、国家戦略文脈、外交文脈が絡む。普通の補助金コンサルでは対応が難しい領域です。」
「ディープテックスタートアップで海外展開を志向するなら、令和8年度のローカル・スタートアップ枠は絶対押さえるべき機会。東京都本社が対象になるのは大きな前進。」
「事務局が PwCコンサルティング合同会社 という点も重要。コンサル系の評価軸で見られるので、事業計画書の質が問われる。簡素な書き方では通らない領域です。」
まとめ
総務省「安全性・信頼性を確保したデジタルインフラの海外展開支援事業」令和8年度ローカル・スタートアップ枠は、地方ICT中小企業+東京都本社スタートアップにとって、海外展開の新しい支援機会。
申請のポイント:
- JPD3 入会の即時実行
- 海外展開先国の明確な選定
- 現地社会課題との接続論理
- 公募説明会への参加(4/24、5/14)
- 提案書・提案事業概要の質
- 「ローカル・スタートアップ枠」活用意義の明示
公募締切は5月29日(金)17時。残り約1ヶ月。デジタル海外展開を本気で目指す事業者は、即座に動き出すべきだ。
※ 本記事は2026年4月時点の総務省公式情報をもとに作成しています。最新情報・応募書類は総務省公式ページおよびJPD3をご確認ください。