「採択率99%」のサイトを見たことがあるか
補助金コンサルのサイトを巡っていると、こういう数字をよく見る。
- 「採択率98%」
- 「採択実績100社、99%採択」
- 「過去3年連続100%採択」
数字だけを見ると圧倒的に魅力的。「ここに頼めば通る」と思えてしまう。
ただ、物理的に不可能ではないが、実態と乖離した数字の作り方が業界には複数存在する。違法ではないし、事業者を騙しているとも言い切れない。ただ、その数字を額面通り信じると、コンサル選びを誤る可能性がある。
ここでは、現場で見てきた採択率99%表記の作り方5パターンを、本音で解説する。
トリック1:採択前提の案件しか受けない
最も多い。そもそも、採択が見込めない案件は契約段階で断る。
「3期連続赤字なので難しいですね」
「事業の独自性が弱いので、別の方向で…」
「申請期間がタイトすぎるので、次回に回しましょう」
こうやって契約フェーズで案件を選別することで、引き受ける案件はすべて「通る確度が高い」ものに絞られる。
結果として「採択率99%」は実現する。ただしそれは、コンサルの実力ではなく案件選別の結果。
見抜くポイント
契約前のヒアリングで、こう聞いてみる:
- 「これまで採択できなかった案件はどんな案件ですか?」
- 「うちの案件、難易度はどう見ていますか?」
具体的に答えられないコンサルは、選別後の数字しか持っていない可能性。
トリック2:「申請した案件」を母数にしている
採択率の計算式は2つある。
計算A:申請数を母数にする
採択数 ÷ 申請数 = 採択率
計算B:相談数を母数にする
採択数 ÷ 相談数 = 採択率
計算Aの方が圧倒的に高い数字になる。なぜなら、相談から申請に進む段階で、コンサルが「これは通らない」と判断した案件を脱落させているから。
業界の慣習として、「採択率」は計算Aを使う。「相談100件、申請50件、採択45件」のコンサルは、「採択率90%(45/50)」と表記する。
事業者が実感する確率は計算B
「相談したら、ほとんど採択された」という体感を持つには相談ベースで計算すべき。45/100 = 45%。これが事業者から見たリアルな確率。
見抜くポイント
- 「相談から申請まで進んだ割合は?」
- 「申請を勧められなかった案件はどんな案件?」
トリック3:複数回申請の合算で計算
採択されるまで何度でも再申請するスタイルのコンサル。
例:1社が3回申請してやっと採択された場合
- 申請数:3
- 採択数:1
- 採択率:33%
これは普通の計算。
ただし、一部のコンサルは「最終的に採択された会社の割合」を採択率として使う。
例:10社支援、最終的に8社が採択(再申請を合わせて)
- 採択率:80%
数字としてはこちらも嘘ではない。ただし、事業者が払うコストは1回目で通った場合の3倍以上。再申請ごとに着手金が発生するコンサルだと、トータル費用が膨らむ。
見抜くポイント
- 「初回採択率はどれくらい?」(再申請を含まない数字)
- 「再申請する場合の着手金はどうなる?」
トリック4:採択しやすい補助金に集中している
補助金の採択率は制度によって大きく違う。
| 制度 | 採択率の目安 |
|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 50〜60% |
| ものづくり補助金(一般型) | 30〜50% |
| 事業再構築補助金(旧) | 30〜40% |
| 成長加速化補助金 | 10〜20% |
| 自治体補助金(小規模) | 60〜80% |
つまり、自治体の小規模補助金や持続化補助金中心に扱うコンサルは、自然と採択率が高くなる。
これも実力というより制度選定の偏り。
見抜くポイント
- 「主に扱っている補助金制度は?」
- 「事業再構築や成長加速化のような大型補助金の経験は?」
- 大型補助金で勝てるかが、コンサルの本当の実力
トリック5:採択後の脱落・取下げをカウントしない
意外と知られていない。
「採択された」と「補助金を受け取った」は違う。
- 採択
- 交付決定
- 事業実施
- 実績報告
- 着金
このうち、採択後に交付決定を取らずに辞退する会社、事業実施で躓いて補助金を受け取れない会社が一定数いる。
「採択率99%」の数字には、採択時点での数字が使われる。着金率(実際に補助金を受け取れた割合)ではない。
採択された後にコンサルがフォローを薄めるパターンもある。「あとは事業者次第」と関与が減る。採択がゴールになっているコンサルは、この数字の作り方を取りやすい。
見抜くポイント
- 「採択後の交付決定〜着金までのフォローは?」
- 「過去に採択後に辞退・脱落した会社はある?」
- 「着金率はどれくらい?」
採択率の数字を、何を見るべきか
ここまで5つのトリックを書いた。「99%は嘘」と言っているわけではない。数字には計算の幅があることを理解してほしい、ということ。
事業者がコンサル選びで本当に見るべき数字は:
- 相談ベースの採択率(申請に進んだ割合×採択率)
- 大型補助金(事業再構築・成長加速化)の採択経験
- 着金率(採択後の脱落を含めた最終受領率)
- 再申請の場合の追加コスト
これらを契約前に確認できるコンサルは、数字に誠実。「うちの採択率は99%です」とだけ言うコンサルには、上記4点を聞いてみてほしい。
TORUQでは「採択率の中身」を比較できる
TORUQに登録された認定コンサルは、プロフィールに累計実績件数・採択率(公開可否)・採択率の根拠を記載する仕組みになっている。
「数字の見せ方」ではなく、事業者にとって意味のある実績を比較できるよう、TORUQ運営が記載項目を統一している。複数コンサルを並べて、本当の実力を見極める材料になる。
※本記事は補助金コンサル業界の一般的な数字の作られ方について、現場の観察から整理したものです。特定のコンサルや事業者を批判する意図はありません。