「使ったことがない」中小企業が大半。これは機会損失
各都道府県には公設試験研究機関(公設試)が存在する。「○○県工業技術センター」「○○市産業技術研究所」などの名称で運営されている。
実は、これらは中小企業が無料 or 数千円で利用できる技術インフラ。にもかかわらず、活用している中小企業は限られている。
公設試で受けられる5つの支援
| 支援内容 | 詳細 |
|---|---|
| 技術相談・技術指導 | 工業技術等に関する質問・相談 |
| 機器・設備の利用 | 公設試が保有する各種機器・設備の利用 |
| 依頼試験・分析 | サンプルの品質検査、性能試験、成分分析 |
| 受託・共同研究 | 新製品・新技術開発に必要な研究・試験 |
| 人材育成 | 講習会、研修制度 |
制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営 | 都道府県・政令市等 |
| 対象 | 個人・法人で事業を営む方(地域内外問わず利用可能なケースが多い) |
| 費用 | 多くは無料〜数千円程度(機器利用・依頼試験は時間/件数課金) |
公設試活用の典型例
例1:技術相談(無料)
中小製造業が新製品の試作で原料配合に悩んでいるとき、公設試の研究員に相談すると、過去の研究実績や類似事例を踏まえたアドバイスを受けられる。これが無料。
例2:依頼試験・成分分析(数千円〜)
食品・化学品メーカーが自社製品の成分分析を外部委託したい場合、民間検査機関なら1件数万円。公設試なら1件数千円〜1万円程度で済むケースが多い。
例3:機器・設備の利用(時間課金)
電子顕微鏡、X線回折装置、高精度三次元測定機など、1台数千万円する研究機器を、時間単位で利用可能。中小企業が単独で保有するのは困難だが、必要な時だけ使える。
例4:受託研究・共同研究
公設試と長期の共同研究契約を結べば、研究員の専門知識・継続的な機器利用が可能。Go-Tech事業の共同体メンバーにもなれる。
現場の本音
① 補助金申請の「事前段階」で活用
補助金申請書には技術的な裏付けデータが必要。「自社の独自技術がこのレベル」と言うために、公設試での試験データを引用するのが王道。
例:
- 「独自加工技術により、表面粗さRa 0.05μm以下を実現」
- 「公設試の三次元測定機による測定結果(添付資料参照)」
数字の根拠を第三者機関のデータで示すと、申請書の説得力が劇的に上がる。
② Go-Tech事業の共同体メンバーとして
前述のGo-Tech事業は「2者以上で共同体を組むこと」が必須。公設試はこの共同体メンバーとして最有力。
「中小企業 + 公設試」の組み合わせは、Go-Tech事業のテンプレ的な勝ちパターン。
③ 「全国鉱工業公設試験研究機関保有機器・研究者情報検索システム」を活用
経済産業省が運営する全国検索システムで、全国の公設試の保有機器・研究者を一括検索できる。
例:
- 「うちの県の公設試にはX線回折装置がない」
- → システムで検索 → 隣県の公設試にあることが判明
- → 隣県の公設試に依頼(他県の事業者でも利用可能)
URL:https://www.meti.go.jp/kousetsushi/top
④ 産業技術総合研究所(産総研)への接続
公設試は、国の研究機関である産業技術総合研究所ともネットワークがある。中小企業の技術課題が公設試で解決しなければ、産総研の専門家を紹介してもらえることもある。
最先端の研究シーズへのアクセスルートとして、公設試は重要な入口。
こんな会社に向いている
- 製造業・食品・化学品メーカーで技術課題がある中小企業
- 補助金申請に向けて技術的裏付けデータが欲しい
- 高額機器(電子顕微鏡・分析装置等)を時々使いたい
- Go-Tech等の共同研究補助金で公設試との連携を組みたい
- 技術系人材の育成(研修・講習)に投資したい
利用方法
- 各都道府県の公設試Webサイトで利用案内を確認
- 直接電話・メールで相談
- 「全国鉱工業公設試験研究機関保有機器・研究者情報検索システム」で機器を検索
- よろず支援拠点経由でも公設試を紹介してもらえる
※本記事の情報は2026年4月27日時点の中小企業施策ガイドブック2026年度版に基づきます。詳細は[全国公設試検索システム](https://www.meti.go.jp/kousetsushi/top)等でご確認ください。