「採択率95%」——この数字、本当だと思いますか?
補助金コンサルのホームページやSNSで「採択率95%」「採択率98%」という数字を見かけることがある。
結論から言う。この数字は嘘ではないかもしれないが、意味のある数字でもない。
なぜか。3つの理由がある。
理由1: 補助金の採択率は制度によって全く違う
まず大前提として、補助金の採択率は制度ごとに天と地ほどの差がある。
| 補助金制度 | 採択率の目安 |
|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 50〜65% |
| IT導入補助金 | 60〜80% |
| ものづくり補助金 | 30〜50% |
| 事業再構築補助金(後継) | 25〜45% |
| 成長加速化補助金 | 約16% |
| 大型省エネ補助金 | 数%〜10% |
IT導入補助金の採択率は60〜80%。この制度ばかり扱えば、コンサルの腕に関係なく「採択率80%」は達成できる。
逆に成長加速化補助金は採択率16%。どんな優秀なコンサルでも全案件は通せない。
つまり「採択率95%」のコンサルが本当に優秀なのか、単に通りやすい制度しか扱っていないのかは、この数字だけでは分からない。
理由2: 案件を選べば採択率はいくらでも上がる
ここが核心。
コンサルが引き受ける案件を「通りそうな案件だけ」に絞れば、採択率は自動的に上がる。
- 財務状況が良好な企業だけ引き受ける
- 要件に明らかに合致する案件だけ引き受ける
- 難しい案件は「うちではお受けできません」と断る
これで「採択率95%」は簡単に達成できる。しかし、本当に補助金が必要な企業——財務が厳しい、初めての申請で不安がある、要件ギリギリで判断が難しい——こういう企業は門前払いされてしまう。
高い採択率の裏に「断られた企業の数」が隠れている可能性がある。
理由3: コンサルの力ではどうしようもない要素がある
補助金の採否を決める要素の中には、コンサルの腕前とは無関係なものがある。
コンサルではどうしようもないこと
- 事業内容そのものが補助金の趣旨に合わない: — どんな計画書を書いても、事業の方向性が制度の目的と合わなければ落ちる
- 企業の財務体制が脆弱すぎる: — 債務超過、2期連続赤字、借入過多。審査員は「この会社に補助金を出して、事業を完遂できるか?」を見ている
- 公募回のタイミングと競合: — 同じ回に優れた申請が集中すれば、相対評価で落ちることがある
- 政策の重点が変わった: — 賃上げ重視、GX重視など、政策トレンドの変化で加点構造が変わる
コンサルが120点の才能を持っていても、落ちるものは落ちる。 逆に言えば、落ちたときに「コンサルが悪い」とは限らない。
では、本当にいいコンサルとは何か
採択率の数字ではなく、以下の行動で見極めるべき:
1. 会社の状況をちゃんとヒアリングする
初回相談で「どの補助金に出しましょうか」ではなく、「御社の事業と課題を教えてください」から始まるコンサルは信頼できる。
補助金は手段であり目的ではない。事業の状況を理解した上で「この制度が合いますね」「今の状況だと○○補助金は難しいかもしれません」と正直に言えるかどうか。
2. 事業内容と補助金の要領を照らし合わせて採択確率を見極める
いいコンサルは、引き受ける前に「この案件なら採択確率は体感で○○%です」と正直に伝える。
- 「ほぼ確実に通ると思います」→ 引き受ける
- 「五分五分ですが、こう書けば角度が上がります」→ 戦略を提示して引き受ける
- 「正直、この案件は厳しいです。理由は○○」→ 断るか、別の制度を提案する
この「見極め」ができるのが本物のプロ。 全案件に「大丈夫です!通ります!」と言うコンサルは危険。
3. 採択確率を上げるために動いてくれる
見極めた上で、確率を少しでも上げるための具体的な行動をしてくれるか。
- 加点項目を全て洗い出して取得支援する
- 事業計画の弱い部分を指摘して一緒に強化する
- 審査員が見るポイントを踏まえた構成に組み替える
- 数字の根拠を一緒に作り込む
4. 採択後もサポートする
採択はゴールではない。交付申請・事業実施・実績報告・補助金入金まで伴走してくれるか。「採択率」を掲げるコンサルの中には、採択後に連絡が取れなくなる業者もいる。
まとめ: 採択率は「参考値」、判断基準にするのは危険
| 見るべきポイント | ダメなコンサル | いいコンサル |
|---|---|---|
| 採択率 | 「95%です!」と強調 | 「制度による。この案件なら○○%」と正直 |
| 引き受け基準 | 通りそうな案件だけ受ける | 難しい案件でも戦略を提示する |
| 初回相談 | 「どの補助金に出しますか?」 | 「事業の課題を教えてください」 |
| 不採択時 | 「運が悪かった」で終わり | 原因を分析して次の戦略を提示 |
| 採択後 | 連絡が取れなくなる | 入金まで伴走する |
採択率は分かりやすい指標の1つだが、それだけでコンサルを選ぶのはNG。 事業を理解し、正直に見極め、角度を上げるために一緒に動いてくれる——それが本当にいいコンサルタント。