まず結論:東京都はスタートアップ補助金の宝庫
東京都は、日本のスタートアップ・エコシステムの中心。創業企業数・VC調達額・大学発VB の集積度で、他地域を圧倒する。
それに伴い、東京都・産業労働局・都内区市町村・国の各レベルで、スタートアップ向け補助金が極めて豊富。地方発スタートアップとは比較にならないほどの選択肢がある。
本記事は、東京都発スタートアップが使える補助金を、創業期〜成長期の段階別マップとして体系化する。
段階別補助金マップ
創業期(設立0〜2年)
#### 1. 東京都創業助成金
東京都産業労働局が主管する、東京都内創業者向けの代表的な補助金。
- 補助上限:400万円
- 補助率:2/3
- 対象:東京都内で創業する者
#### 2. 区市町村の創業支援補助金
23区・都内市町村で、独自の創業支援補助金を持つ自治体多数。
- 港区・千代田区・中央区
- 渋谷区・新宿区・豊島区
- 武蔵野市・三鷹市・八王子市
#### 3. 中小企業診断協会の経営革新計画認定支援
経営革新計画の承認支援。創業期の事業計画策定で活用。
研究開発期(設立2〜5年)
#### 4. 東京都ステップアップ助成事業
成長期の中小企業向け助成金。
- 主管:東京都産業労働局
- 対象:成長性のある中小企業
#### 5. 中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金
旧IT導入補助金の後継。デジタル化・AI導入を支援。
- 補助上限:450万円
- 通常枠・セキュリティ対策推進枠・インボイス枠
#### 6. ものづくり補助金
製品・サービス高付加価値枠等。
- 補助上限:1,250万円
- 採択率45%程度
#### 7. JST A-STEP(大学発VB向け)
大学発VB の研究シーズ事業化支援。
#### 8. 横浜市TECH-PoC(神奈川エリアSU向け)
東京都に加え、神奈川県(横浜市)の制度も活用可。
- 補助上限:200万円
- 補助率:2/3
- テック系スタートアップ特化
成長期(設立5年〜)
#### 9. 中小企業新事業進出補助金
新分野展開・業態転換の補助金。
- 補助上限:7,000万円
#### 10. 成長加速化補助金
100億円企業創出枠を含む大型制度。
- 補助上限:5億円程度
- 採択率10〜20%
#### 11. J-Startup認定(経済産業省)
スタートアップ最高峰の認定制度。認定取得で各種補助金優遇。
海外展開期
#### 12. JETRO 新輸出大国コンソーシアム
海外展開のハンズオン支援。
#### 13. 総務省 デジタルインフラ海外展開支援事業 ローカル・スタートアップ枠
東京都本社のスタートアップが新たに対象に。
- 公募期間:2026年4月24日〜5月29日
#### 14. ものづくり補助金 グローバル枠
海外展開要件のあるものづくり補助金。
- 補助上限:3,000万円
都内区市町村の独自補助金
都心区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)
#### 千代田区の補助金
スタートアップ向け補助金多数。
- ビジネス創発(オフィス)支援
- イノベーション創出支援
#### 港区の補助金
外資系スタートアップ・国際展開SU向け制度あり。
#### 渋谷区の補助金
IT系スタートアップ集積地としての制度。
副都心エリア
#### 新宿区・豊島区
商業・サービス系スタートアップ向け制度。
城南・城西エリア
#### 大田区
ものづくり集積地としてのものづくり系SU向け補助金。
#### 世田谷区
クリエイティブ系SU向け制度。
多摩エリア
#### 武蔵野市・三鷹市
テック系・大学発VB向け制度。三鷹市は東京大学先端研との連携も。
大学発VB・研究開発型 SU 向けの東京特化制度
大学TLOの支援
東京都内には主要大学のTLOが集積:
#### 東京大学
- FoundX
- 東大IPC
- 東大エッジキャピタル
- 東大協創プラットフォーム
#### 慶應義塾大学
- 慶應イノベーション・イニシアティブ
#### 早稲田大学
- 早稲田大学ベンチャーキャピタル
これらのTLOは、補助金情報のハブ。TLO経由の補助金紹介は、大学発VB の重要な情報チャネル。
産業技術総合研究所との連携
産総研は東京都内に拠点。産総研連携プログラムを通じて、各種補助金へのアクセスが可能。
JAXA・物材機構等の連携
宇宙・素材系のディープテック SU は、JAXA・物質材料研究機構との連携で補助金を取りに行ける。
補助金活用の段階的戦略
戦略例1:IT・SaaS系スタートアップ
- 創業期:東京都創業助成金 + 区独自創業補助金
- 研究開発期:中小企業デジタル化・AI導入支援補助金
- 成長期:J-Startup認定 + 中小企業新事業進出補助金
- 海外展開:総務省ローカル・スタートアップ枠
戦略例2:ディープテック(バイオ・素材)
- 創業期:東大TLO支援 + JST A-STEP(FS)
- 研究開発期:JST A-STEP(産学共同)+ NEDO + Go-Tech 事業
- 成長期:成長加速化補助金 + J-Startup認定
戦略例3:製造業系スタートアップ
- 創業期:大田区創業支援 + 中小企業診断協会経営革新計画
- 研究開発期:ものづくり補助金 + Go-Tech 事業
- 成長期:中小企業新事業進出補助金 + 海外展開系補助金
認定コンサルの本音
「東京都発スタートアップは、補助金の選択肢が多すぎて、逆に何を選ぶべきか分からなくなる。各制度の特徴を理解した上で、自社のフェーズ・領域に合う制度を絞り込む経営判断が重要。」
「東京都の制度は申請件数も多く、競争が激しい。地方の制度より採択率が低い傾向。事業計画書の質で勝負を分ける必要がある。」
「区市町村の独自補助金は、知名度が低くて競争率が低いケースがある。地元区役所・商工会議所で補助金情報を収集することで、競争率の低い『穴場』を見つけられる。」
まとめ:東京都発SUは「段階的+多層的」に活用
東京都発スタートアップは、補助金活用の選択肢が圧倒的に多い。創業期〜成長期〜海外展開の各段階で、東京都・区市町村・国・大学TLOの各層から補助金を組み合わせる戦略が現実的。
組み合わせのポイント:
- 創業期は東京都創業助成金+区独自支援
- 研究開発期は領域に応じた専門補助金
- 成長期はJ-Startup認定+大型補助金
- 海外展開期は国家戦略系補助金
- 大学発VB はTLO経由の情報網を活用
東京都発スタートアップの本番は、補助金の存在を知ることだけでなく、自社のフェーズ・領域に合う制度を見極める経営判断だ。
※ 本記事は2026年4月時点の制度情報をもとに作成しています。最新の公募要領・採択情報は各制度の公式情報をご確認ください。